茶をすする

香車の周りを跳ねる動物たち

おかしくなった心臓からのエール

ぼくたちはもうがんばることができないのだろうか

大切な感情をケミカルに抑えて

社会の端っこでうずくまるぼくら

苦いつらみの茶をすする

毛糸をたどるリスのまばたきを見ながら

トラは光っている

おろしたてのタオルのように真っ白なネコが

つまずく小石のような

無機的な幸せをぼくたちは望む

盤面にはホワイトチョコレートの細片が散り踊る

迂闊なパンダが縁から落ちる

どこまでも不器用で打つ手なしのぼくら

三角を積み上げて四角を作ろうとして

悲しい怪物ができあがる

誰にも復讐することができないので

金将を川面にアンダースローする

半熟の空を背景に

キリンに蹴られて死んでしまえよ

秋迫る九月のひととき